内冨芳和さん
広島国際学院中学校・高等学校空手道部監督
プロフィール
うちとみ・よしかず
広島国際学院中学校・高等学校空手道部監督。広島県高体連空手道専門部指導部部長。平成30年呉港高等学校を退職した後、同校に赴任。空手道指導者としての専門知識を生かし、日々指導に取り組む。
人生を変えてくれた空手道諦めずに挑んだ指導者の道
空手道を始めたのは、小学校4年生の頃です。小学校2年生の時に父が亡くなり、ふさぎこんでいた当時の私は、内気で自分の意見をはっきり言えない少年でした。引っ込みけてきてくれたのが空手道場です。当時、ジャッキーチェンが流行っていたので、映画からも感化されましたね。映画の中で、弱い主人公が修業して強くなる過程が、自信のない自分と重なりました。そこからずっと空手道一筋の人生です。高校は安芸府中高等学校に進学しインターハイを目指しました。大学は、空手道の強豪校である近畿大学工学部に進み、勉学に励みながら空手道部に所属していました。日々汗を流していました。卒業後、一度は福山郵便局に就職しましたが、どうしても教員、そして空手道指導者の夢が諦めきれず、5年後に退職。縁あって呉市の呉港高等学校に採用となり、教諭兼空手道部顧問として14年間勤めました。本校への赴任は、3年前の春です。現在は地歴公民の教科を教え、進路指導も担当しています。中学校と高校合わせ24人の空手道部員を指導しています。
海田町(カイタチョウ)から全国へ飛躍する空手道選手を
大きな目標を掲げ稽古に励むのはもちろんですが、私が心がけるのは人間力(ニンゲンリョク)を高める指導です。粘り強く諦めない心を持ち、将来に向かってしっかり歩む土台を、空手道を通じて培う環境が大切だと考えています。私が組む練習メニューは、他校とあまり変わらないかもしれません。しかし、厳しさと共に、楽しさも教えます。厳しいだけ では、生徒は付いてきません。メリハリを付けた日々の稽古では、一人一人にできるだけ声を掛け、丁寧な指導を心掛けています。また、次の夢を追いたいと思い本校に 赴任した3年前、私は部員たちに「私の夢に付き合ってほしい」と真剣に話をしました。その夢とは全国大会への出場、そして優勝です。その昔、高校生の私が思い描いた 「全国大会に出場して良い成績を収める」という夢は叶い ませんでした。強くなりたいと願う部員たちに夢を託し、一緒に上に向かって進んでいます。日々の練習成果が発揮され、先月開催された第41回全国高等学校空手道選抜大会全国選抜大会にて、女子団体形、女子団体組手、女子個人組手の4階級で本校生徒が出場を果たしました。本来なら3月24日から26日に宮城県で開催予定だった本大会ですが、地震の影響を受け一旦は中止になりました。しかし、この大会を目指し練習に励んできた選手たちが成果を発揮できる場を作りたいと協議が重ねられ、代替大会が実施される運びとなりました。生徒たちの輝く姿を目の当たりにすることができ安堵しています。
心と技を磨きあげ人間力(ニンゲンリョク)を高める
私自身、空手道を通じて、一人で生きていく力を身につけられたと思っています。空手道の最大の魅力は、人間カ(ニンゲンリョク)の向上です。また、空手道を通じてたくさんの先輩や後輩、先生など、たくさんの方々と知り合えるのも財産だと 思います。生徒たちに望むのは、諦めることなく、ひたむきにがんばる姿勢です。もちろん大会に向けて掲げる目標も大切ですが、どんな大会でも優勝するのは一人、もしくは一校です。優勝以外の結果がダメなのかというと、決してそうではありません。目標に向かっていく過程をしっかり進んでいけば、自然と人としての力を高めることになります。そして社会に出る頃には、強くたくましく生きていける人に育ってもらいたいのです。
ありがたいことに、この3年間で空手道部の部員数が徐々に増えてきました。小さい頃から習ってきた空手道を辞めることなく、中学高校でも続けたいと思う若い世代がいることがうれしいですね。部活は、日曜日を除いて、基本毎日行なっています。長期休暇中は、長めのお休みは取るようにしていますが、ほぼ毎日実施しています。しかしなかには、勉強も空手道も両立したいという生徒もいますので、生徒の意向を汲み、勉強も空手道の練習も一生懸命に取り組めるよう練習環境を整備しています。文武両道の精神をだいじに突き進んでいます。
目指すは全国大会への出場空手道で地域と学校に恩返し
本校を全国大会に導くことが私が掲げる空手道での一番の目標です。しかし、空手道人口がなかなか増えないことに危機感を感じています。選手が増えなければ、空手道の発展は見込めません。そのため、本校で練習会を開催しています。SNS上(ジョウ)で小中学生を対象に参加を募り、たくさんの方にご来校いただいています。今後は、空手道の普及活動にも力を入れていきたいです。結果、生徒募集にもつながればとてもうれしいですね。私ができる、本校と空手道への恩返しです。空手道と本校、そして地域の皆さまには 感謝しかありません。現在私は、住まいのある呉市から海田町(カイタチョウ)へ車でかよっています。人が優しく温かい雰囲気に満ちている海田町(カイタチョウ)は素晴らしい町です。昨年までは生徒指導の職務に就き、毎朝登校指導で学校の前にあるふれあい橋に立っていました。すれ違った年配の方々や小学生があいさつを返してくれ、とても温かい場所だなと感じました。今後も、学校や空手道部のイベントを通じ、海田町(カイタチョウ)の皆さんとたくさん交流したいと思っています。地域のかたから愛される広島国際学院中学校・高等学校そして教員でありたいという思いを抱き活動していきますので、空手道部員への応援共々、どうぞよろしくお願いします。
MY Favorite 海田のお気に入り
瀬野川ののんびり風景
本校の目の前を流れる瀬野川周辺はとてもいやされる場所です。春は桜が咲き誇るなど、植物たちが四季折々の表情を見せてくれます。またスケートボード場やランニングコースもあり、穏やかな雰囲気に満ちています。気分転換に、たまに散歩に行く大好きな場所です。