町長と小寺 洋一さん
海田バイオマスパワー株式会社代表取締役社長
プロフィール
こでら・よういち
1985年「中国電力株式会社」に入社。経営企画を担当し、社内外(シャナイガイ)で広く活躍する。2017年、「海田バイオマスパワー株式会社」設立時に手腕を見込まれ副社長に抜擢。現在は社長として会社を牽引し、バイオマス発電により持続可能な社会に貢献している。
エネルギーの未来を拓く海田バイオマスパワー
町長:今日は、2017年に設立された海田バイオマスパワーの小寺社長とSDGsについて語れるということで、非常に楽しみです。まず、バイオマスというものについて教えていただけますか。
小寺:バイオマスとは『再生可能な生物由来の有機資源』を表す言葉で、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物に大別され、安定的かつ継続的に量を確保することができ、さまざまな用途に使える万能エネルギーとして注目されています。海田バイオマスパワーでは、おもに広島県内産の未利用材などを活用した木質チップを燃料にして発電をおこなっています。
町長:環境保全にも寄与する発電方法なんですね。
小寺:そうですね。まったくCOツーを出さないわけではないですが、燃料の原料となる樹木が吸収するCOツーと燃焼して発生するCOツーの総量が同じであることから、木質系バイオマスはカーボンニュートラルな燃料として低炭素社会の実現に貢献していると言えます。
町長:環境負荷をかけずに電力の安定供給ができるのは素晴らしいですね。このような施設が海田町(カイタチョウ)にできたことを大変心強く感じます。
環境について皆で考えていく地域に!
町長:環境保全に関する小寺社長の考えを聞かせていただきたいです。
小寺:我々がやっていることそのものが環境保全に通じると思うのですが、今回海田町(カイタチョウ)で事業を行わせていただくようになり、地域の皆様と一緒に未来の地球環境について考えていける施設にしたいという思いが強くなりました。コロナ禍(コロナカ)であまり積極的に行えていませんが、学生さんや一般の方々に、ぜひ見学に訪れていただき、“バイオマスって何だろう”、“未来を支えるエネルギーってどういうものだろう”と、考えるきっかけになればうれしいなと思っています。先日、海田町(カイタチョウ)の公衆衛生推進協議会の方々が見学されましたよ。
町長:公衆衛生推進協議会は環境問題にも力を入れていますからね。町内外の皆さんにもぜひ見ていただきたいと考えているので、近隣地域と連携してツアーなどが組めたらいいなと思っているんですよ。施設の夜景もとってもきれいですしね。
小寺:ちなみに海田町(カイタチョウ)では、環境に対する取り組みはどういったものが行われているのですか。
町長:9月に新庁舎への移転を計画していますが、この新庁舎では、屋根に設置する太陽熱集熱システムで温めた熱を冬季の床暖房に活用できるつくりになります。また、LED照明を用いて電力負荷を低減したり、周辺を緑化することで緑のある環境づくりの推進も計画しているところです。
早期教育で持続可能なまちづくりを!
町長:今日はSDGsがテーマということで、海田町(カイタチョウ)ではそのほかにも男女共同参画(SDGs目標5)や、働き方の整備(SDGs目標8)など、多角的にSDGsの達成にアプローチしていますが、海田(カイタ)バイオマスパワーさんではどうですか。
小寺:私たちの会社は、もともと広島ガスと中国電力の共同出資なんです。親会社がどちらもエネルギー関連の会社ということで環境への配慮などはもちろん、女性の活躍の場づくりや風通しの良い職場環境など、あらゆる面でSDGsの理念を取り入れています。
町長:目指す方向は一緒ですね。今後、海田町(カイタチョウ)ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を軸にした事業展開をしていきたいと考えています。平成29年にフィンランドへ視察におこなったのですが、環境や子育て支援(ネウボラ)、教育など色々な部分で先進的な取り組みをされていて勉強になりました。街中でデジタルサイネージを使っていて、私たちも新庁舎で活用して啓発活動を行い、皆さんの意識の醸成を図りたいと感じました。SDGsの達成は一人ではできませんからね。
小寺:おっしゃる通りで、カーボンニュートラルを進めるにあたっても国民の理解が必須なんです。その理解を深めるために何が必要かと考えると、やっぱり教育なんですね。北欧では早くからおこなっていますが、早期から環境について学ぶことが大事だと思っています。
暮らしやすさが実感できる環境意識の高いまちを実現
町長:これから海田町(カイタチョウ)では、子育て、教育、健康の三本柱に力を入れて人口増加にもつなげていきたいと思っています。海田町(カイタチョウ)のスローガンは『暮らしやすさが実感できるまち』なんですが、これをぜひとも町民の皆さんに感じてもらいたい。“海田町(カイタチョウ)で暮らせて良かったな”“海田バイオマスパワーのあるまちで暮らせて良かったな”と。
小寺:ありがとうございます。先程の教育の話にもつながるんですが、若い世代の方に施設に足を運んでいただいて、こういう新しいエネルギー供給の仕方があるんだよってことを、ぜひ広めてほしいです。海田町(カイタチョウ)はアクセスの良いまちなので、もちろん町外(チョウガイ)からもお越しいただきたいです。そして私たちの会社が海田町(カイタチョウ)で事業を行うことで、“海田町(カイタチョウ)は早くからカーボンニュートラルに取り組んでいる”というような、イメージ作りにも役立てたらと思っています。
町長:ありがたいことですね。こういった素晴らしい施設が海田町(カイタチョウ)にできたことで、エネルギーを使う側の意識も高めていきたいですね。限りあるエネルギーを大切に使い、生産と消費を両輪で成り立たせられる、“環境意識の高いまちづくり”(SDGs目標7、13、14、15)を進め、循環型の持続可能な社会の実現に取り組んでいきたいです。
MY Favorite 海田のお気に入り
今と昔が混在するまちの雰囲気
JRで通勤する際に、新しくきれいになったなと痛感するのが駅前。整備された様子が現代的でお気に入りです。また、会社の安全祈願で訪れる熊野神社とその一帯は旧西国街道の趣が残る歴史ロマン漂う雰囲気。今と昔が混在するところが海田町(カイタチョウ)の魅力だと感じます。