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今をときめくまちのあの人に会いに行く ボリューム38

海田町(カイタチョウ)にゆかりのある人を毎月ピックアップし、現在の活動や仕事内容から、海田町(カイタチョウ)への思いまで深掘りしていきます。

7月号では、日本尺八連盟大師範・明暗尺八導主の原田直心さんを取材し、40年続けてこられた奥深い尺八の魅力や、これからの活動について聞かせてもらいました。

原田 直心さん

日本尺八連盟 大師範 明暗尺八 導主

精神修養と伝統文化の継承 明暗尺八に心を惹かれて

私が尺八を始めたのは、上田流臥龍斎大師範であった叔父の影響と、人間国宝である故・島原帆山先生に憧れを持ったことがきっかけです。当時は公務員として県内転勤をしていたため、最初は尾道在住の先生に習っておりました。その後、仕事の異動を機に、広島の先生のもとで学ぶことに。職場で出会った仲間にも尺八愛好家がおり、皆でサークルを作って人の輪も広がりました。当初入門したのは、独奏のほか、琴や三絃などの楽器と合奏をしたり、洋楽とコラボレーションして、芸術性や音楽性、娯楽性を追求する都山流という流派です。年に1回発表会があり、仲間たちと自己研鑽するのは非常に充実した時間でした。中には大学の邦楽サークルに所属している若い人もおり、世代を超えた交流ができたと感じています。しばらくは都山流一本で尺八を学んでおりましたが、その後、700年余りの歴史を持つ明暗尺八を知りました。明暗尺八は室町時代から虚無僧が吹いていた曲を受け継ぐもので、精神修養と伝統文化を継承し、社会貢献を目的としています。尺八はゆらぎのある音色が魅力的ですが、特に明暗尺八の独特な曲調は私の心を強く惹きつけました。

尺八歴40年の節目に全国献奏大会出場

都山流尺八を40年、うち25年を明暗尺八の学びに費やし、日本尺八連盟では大師範を、明暗尺八では導主(師範)の立場に。これまでは仕事の合間に尺八を学んできましたが、4年前に退職し、より活動に打ち込めるようになりました。そこでこの節目に、今年6月2日に兵庫県で開催された「第135回尺八本曲全国献奏大会」へ出場。44組が参加したこの大会で、私は「九州鈴慕」という課題曲を選曲し、自身の鍛錬を振り返ることができました。また、皆さんの吹奏(スイソウ)技能や、曲からにじみ出る人間性の円熟味、修業の深まりが感じられ、非常に意義深い1日でした。先輩方からは貴重なアドバイスを多数いただき、新たに得られた気付きもあります。例えば、多くの道人(ドウニン)との知己を得ることや、継続と感謝の大切さなどです。先輩の感想に、「尺八でも何でも継続することが一番難しい。それは、本人の努力だけでなせるものではなく、家族や周囲の方々の理解や支援があってこその賜物です。まずはそこに『感謝』することが大事ではないかと思います」というものがありました。私はこの言葉にはっと気付かされ、今まで尺八の道に打ち込めたありがたさを痛感したのです。現在、全国で約200名の導主が伝承普及と門人育成に努めています。尺八の世界では60歳代が若手の部類ですので、確実に高齢化が進んでいます。一方で、音楽素材として20から30歳代の若者や外国人の方々が尺八を学ばれている現実もあり、今後は後進育成に力を入れていければと考えています。

心の安寧をもたらす音色を広めたい

もうひとつ私が力を入れたいのは社会貢献活動です。明暗尺八は、尺八を吹いて托鉢行脚する禅的(ゼンテキ)生活の実践者・虚無僧に端を発するものです。私自身、今までいくつかの寺で献奏する機会にも恵まれました。2001年からは、海田町(カイタチョウ)や安芸区中野、廿日市市、東区山根町の高齢者介護施設やイベントなどでボランティア尺八吹奏(スイソウ)をおこなっています。利用者の皆様から歌謡曲や演歌などをリクエストされることもあり、とても喜ばれています。今後もこのような社会貢献活動に力を入れつつ、当流に関心を持たれた人との入門の懸け橋になれるよう、DVDの教材作成をこれからのライフワークにしていきたいです。

仕事の都合で一時期は離れておりましたが、海田町(カイタチョウ)は自身が生まれ育ち、現在は日々を営む大切な場所。時代の変遷とともにまちの様相は少しずつ変わってきましたが、人の温かさや思いやりが色濃く残る地域だと感じています。海田町(カイタチョウ)内にも明暗尺八を修業され、各種大会に出場している先達の方々がおられると耳にしていますので、どこかでお会いできればうれしいです。また、今後尺八を学びたいと思われる方がいたら、ぜひ一緒に活動してみませんか。私が願うのは、子や孫が安全で安心してくらせる海田町(カイタチョウ)であってほしいということ。心の安寧をもたらす音色を、共に奏でていきましょう。

MY Favorite 海田のお気に入り

無心になれる観音免公園の楠木広場

虫の音、鳥の鳴き声に包まれる楠木広場は、私の普段の稽古場所。楠木に寄りかかり尺八を吹いていると無心になれます。ほかにも別の場所で、第1日曜に仲間内の練成会を、第2・4月曜に師匠と稽古をしていますので、興味があるかたは気軽に声をかけてください。

出演者募集

かいたブランド課(役場3階)

電話番号823-9212メールアドレスbrand@town.kaita.lg.jp

広報かいたにご出演いただける人を募集中。自薦他薦は問いません。海田町(カイタチョウ)で活躍していたり、新しいことに取り組んでいたり、まちのことが大すきな人をお待ちしています。興味がある人は問い合わせてください。