原本 明美さん
広島県社会福祉士会 副会長
福祉の世界と関わりを持ちより良い明日をめざし40年
今から約40年前、健康保険組合で働いていました。医療課に配属された時には、産業医の先生や保健師さんに同行し、生活習慣病の人などの相談会に携わ(たずさわ)っていました。今思えば、あれが福祉の世界に関わりはじめた第一歩だったのかもしれません。その後は出産を機に一度仕事を離れ、子育てをしながら自営業の夫の手伝いをするように。しばらくしてから、母方の両親が二人一度に入院するという事態が訪れました。母も私も仕事をしていたので、入退院時の手続きや、退院後の生活をこまめにサポートできるような状況ではなく、大変難儀しました。「これってうちだけの問題なんだろうか。ほかにも困っている人がいるのでは」と感じたことが、福祉を自分事として捉えるきっかけになったと思っています。その後は広島市で開催されていた講座を受けてヘルパー3級の資格を取得、さらに自費でヘルパー2級の資格を取り、介護の世界へ飛び込み、訪問介護や通所介護の運営を15年間行いました。高齢者と触れ合い、家での過ごし方を知るにつれ、もっと外での楽しみも見つけられたら毎日をよりイキイキと過ごせるのではと感じたことが、現在の活動につながっています。
認知症カフェ「オレンジライン」設立
介護保険事業を運営していく中で、「もっと福祉の活動を広く行いたい、専門職として頑張っていきたい」と考えるようになり、大学に編入し、2013年に社会福祉士の資格を取得。資格取得後は、独立型社会福祉士として、さまざまな団体や組織と連携を取りながら、高齢者や認知症・知的障がい・精神障がいを抱える人、そのほか生活に困っている人の権利を守る活動をおこなっています。ボランティア活動では、電話相談なども受けていますが、活動の中心になっているのが2017年に立ち上げた認知症カフェ「オレンジライン」です。多くの高齢者と関わる中で、利用者がいなくなって皆で捜索したり、自身の身内も行方不明になったりして、「家族間だけではない広い協力体制を構築して、もっと認知症について話し合ったり相談し合える場があれば」と思ったことが設立の理由です。オレンジラインは企業の一室や福祉センターなどを借りて月に1回開催。例えば企業や地域の人に関わっていただくことで、高齢者を気にかけてくれる人が増えるかもしれません。認知症を抱える本人や家族だけでなく、“海田町(カイタチョウ)全体で見守る輪”を広げていきたいです。
生きづらさを解消できるまちにしたい
今後オレンジラインでは、私がもう一方で行っている活動のひとつ、成年後見制度の話なども取り入れていきたいと考えています。そして海田町(カイタチョウ)では、特別養護老人ホーム『花みずき』さんでも同じように認知症カフェを開催しており、こちらと協働して、「チームオレンジ」という横断的な動きを展開していきます。過去にも行ってきた認知症サポーターの養成講座やステップアップ講座の開催を加速させ、町内に支える人を増やしていくのが狙いです。私はこれまで、長い間福祉の世界に携わり、いかに共感や理解が大事かということを痛感しています。また、私自身が“人のため”というよりも、活動を行う中でさまざまなことを学ばせてもらい、日々勉強になっています。めざすのは、“すべての人にとって住みやすいまちづくり”。病や悩みを抱えていても、それを気軽に話せる相手がいる、支えてくれる人がいる、そういったまちになっていったらどんなにすてきかと思っています。個人的な夢としては、注文を間違える駄菓子屋さんを開いて、お子さんからお年寄りまで皆が集まっておしゃべりできるような場を作ること。私自身がいつか認知症になったとしても、「原本のおばあちゃん、道、間違っとるよ」ってまちの人が声をかけてくれるような、そんな地域になればいいなと願っています。
MY Favorite 海田のお気に入り
移動に便利な交通アクセスの良さ
海田市(カイタシ)駅から広島駅まではJRで約10分。東広島・安芸バイパスも開通し、車での移動もより便利になりました。仕事柄、市外や県外へ行くことも多いのですが、お陰様でフットワーク軽く動けています。今後も積極的に町内外で活動を広げていきたいです。
出演者募集
かいたブランド課(役場3階)
電話番号823-9212メールアドレスbrand@town.kaita.lg.jp
広報かいたにご出演いただける人を募集中。自薦他薦は問いません。海田町(カイタチョウ)で活躍していたり、新しいことに取り組んでいたり、まちのことが大すきな人をお待ちしています。興味がある人は問い合わせてください。